アスジャ生ブログの読者の皆様、こんにちは。マービンです。
いよいよ東京オリンピックが始まりましたね!皆様いかがお過ごしでしょうか。
オリンピックも、それに続くパラリンピックも、日々稽古してきた選手たちの努力が実るイベントだとよく言われていますが、努力と成長の実が見られるという意味では、アスジャ国費留学生修了式(以下、アスジャ修了式)も同じではないかと思います。
前回のブログでは、3月に行われたNewアスジャ修了式の様子についてお届けしました。修了式といえば、お別れのイメージがあるかもしれませんが、アスジャ生の場合はそれだけではありません。来日初日から刻一刻と成長してきたアスジャ生が、アスジャ修了式でその集大成を迎えることになるのです。
それで、今日のブログでは、今年3月にアスジャを修了した13人のアスジャ生の成長の“実”や、彼らが後輩たちへ託したメッセージをお伝えしたいと思います。人生の節目を彩る修了式で、アスジャ生たちはどのように成長してきたかを一緒に見ていきましょう。
前回のブログでご紹介しましたが、アスジャ修了式では修了証書授与に続いて、アスジャ修了生によるスピーチが披露されます。スピーチでアスジャ修了生たちは、来日初日からの記憶を遡って、自身の日本留学の時間を懐かしく振り返りました。振り返っていくうち、アスジャ生として過ごした時間とその思い出も自然と話されていきました。
例えば、日本の一般家庭に滞在して日本の生活習慣を体験し、日本でのもう一つの家族をもたらしてくれたホームステイ事業についての思い出。あるいは、日本の小学生から高校生までを対象にASEANのことを教えるとともに、日本の教育現場を知ることができたSchool Visits for Global Awareness Educationについて。または、三泊四日間で日本人大学生と一緒に英語で様々な課題について討論したワークショップ。色々大変だったけど、アスジャ生みんなで一緒に作り上げた学生自主事業アセアン祭り。そして、日本各地に出かけて歴史や地域経済、文化、人間について学んだStudy Trip for understanding local industry and culture in Prefectures of Japan。。。どれもアスジャならではの体験であり、修了生たちの記憶に今でも新鮮に残っているとのことでした。
アスジャ生は、アスジャ事業に参加しながら幅広い世代の日本人と交流できて、日本と日本人について理解をより深めることができました。さらに、日本の各地に足を運ぶ機会もたくさん得られ、日本の素晴らしさを実感できました。修了式では、そのようなアスジャの“旅”から日本での就職のヒントをもらったアスジャ生もいれば、学んだことをどのように自国の状況に合わせて取り組めるかを考え出したアスジャ生もいる様子がわかります。来日直後に行われた自分のための新入生オリエンテーションで彼らが語った、日本・アセアンの架け橋となる夢は、こうやって少しずつ具体的にかつ現実的になってきているのでしょう。
ところが、アスジャに関しては過去の楽しい思い出話だけではありません。アスジャ事業に参加しながらアスジャ生は自分の成長にも気づきました。
例えば、アスジャ生が来日当初は想像していなかった自分の成長のひとつに、日本以外の国々、特にASEAN各国についての知識と理解もより深めたことです。日本に来る前は自分の国のことさえよく知らなかったアスジャ生たちでしたが、アスジャでできた仲間との接点を通じて、自分の国と隣国との相違点に初めて気がついたのです。
また、アスジャで出会った人々のおかげで、様々な文化背景や個性を持った人間と接して、異文化コミュニケーションの重要性を初めて学べたそうです。海外留学の時、だれもが異文化という言葉を耳にするものです。しかし実際は、外国で文化も言語も異なる人とコミュニケーションすることは容易ではありません。日本に来る前に、留学先の日本について調べて準備してきた留学生は少なくないと思いますが、アスジャ生が出会ったのは、日本だけではありませんでした。また、同じ日本人でも、年代や性格などによって違うコミュニケーションをとらなければなりませんでした。ですから、アスジャのように、そのように「容易ではないこと」を多く体験して日々にコミュニケーション能力を試行錯誤する場というのは、実はありがたいわけです。
アスジャ事業に参加しながら得られたことはそれだけではありません。アスジャ生でいる限り大切にしておきたい宝物も発見できました。それは、オリエンテーションのときからよく先輩の話に出てきた、「アスジャ・ファミリーの絆」というものです。
留学生として日本に来日してみて初めて一人暮らしを経験する人が多いです。しかも、留学生活が長いほど一人で悩んだり孤独を感じたりしがちです。そんなときに、アスジャの同期生、先輩、後輩がそばで手伝ったりアドバイスしたり、事務局のスタッフや先生方がサポートしたりしてくれました。
そのようなファミリーはいつからスタートしたのでしょうか?アスジャの事業に一緒に参加して周りに先輩…それとも、もっと前、JASSO東京日本語教育センターや東京外国語大学留学生日本語教育センターで共に生活していた予備教育期間中?
いいえ、それはおそらく、日本に到着して空港で初めて挨拶した隣の人が同じアスジャ生だと分かった瞬間からかもしれませんね。アスジャ生同士で集まった時間は、このようにアスジャ生の留学生活をより充実させ、アスジャ・ファミリーの強い繋がりを築いてくれました。
日本での家族がいるからこそ、「留学」自体の意味も再考されました。留学とは、単に言語と専門を勉強して学位を取得するだけではなく、心を広げて異文化を理解して認めるための修業の旅でもある、という例えもありました。確かに、そう見てみると、アスジャ・ファミリーの絆は、日本留学から得られた一生の宝物になるでしょう。
今回修了となったアスジャ生と初めて出会ったのは、彼らのオリエンテーションの時でした。来日直後でまだ緊張感とこれから始まる日本留学への楽しみを混ぜていた当時の彼らの顔は、今でも昨日のように新鮮に覚えています。
彼らの修了スピーチを聞いて、いつの間にか日本にすっかり慣れてずいぶん成長したことに感銘を受けました。当時と比べて流暢な日本語で話すようになったこともそうですが、スピーチ内容も充実して、文化的な感受性がずいぶん高まってきたと、よく感じられました。特に、他者の視点や世界観の違いを意識し、理解しようとしていることがよく伝わってきました。
これらは、修了生たちがこの数年間日本の生活を経験する中で、様々な困難と悩みを乗り越えて、現在に至るまでの成長の印なのではないかと思います。
このようにアスジャ修了生の皆さんは、成長した自分たちを修了式で披露することによって、自分たちが過ごしたこの恵まれている環境を作ってくれた方々、これまでサポートし続けてくれた方々、そしてアスジャ生たちをずっと見守ってくれた先生方、アスジャ事務局の皆さん、関係者の皆様への感謝の気持ちを表せました。そして、自分たちの経験を少しでもアスジャ後輩たちへ伝えて、次の世代のアスジャ生の心に火をつけました。アスジャに対する愛情と精神を今後アスジャ・ファミリーの後輩の皆さんが引き継いでいくことを、強く期待しているのでしょう。
修了生の皆さん
改めて修了おめでとうございます。
アスジャでいる時間は、楽しいことや辛いこと、嬉しいことや苦しいこと、色々なことを一緒に経験してきて、本当にかけがえのない時間でしたね。
このブログが皆さんに届く時は、皆さんはすでに別々の次の道を歩んでいるでしょうが、アスジャを修了して何十年と年月が経っても、皆さんは私たちのアスジャ・ファミリーです。
修了式ではまだ語りきれないことが多かったと思いますが、アスジャ国費留学生としての経験の全ては皆さんにとって貴重な成長の“実”であり、これからの人生に欠かせない土台になると確信しております。
今後はその成長の実が次の世代にも大きな花を咲かせるようにと、皆様の益々のご発展とご活躍を
心よりお祈り申し上げます。
今後はその成長の実が次の世代にも大きな花を咲かせるようにと、皆様の益々のご発展とご活躍を心よりお祈り申し上げます。
読者の皆様、今回のブログはいかがでしたでしょうか。アスジャ修了式でのアスジャ生たちの言葉と気持ちを、少しでも皆様にお届けできたら嬉しいです。
おかげさまで私は、アスジャ国費留学生の時代から現在まで、アスジャ国費留学生・アスジャ修了生・アスジャ事務局スタッフという様々な立場から、アスジャ修了式に出席させていただきました。そのたびに、いつも修了生の皆さんと出会った初日のことを思い出して、本当にあっという間だったなあと感じます。彼らと共に過ごしてその成長を見てきた私も、修了式での思い出を自分の一生の宝物のように大切にしたいと思います。
さて、実は、アスジャ修了式では、過去の懐かしい思い出を振り返る場だけではなく、近い将来での再会があるという予感が醸し出されるシーンもありました。それはアスジャを修了しても、多くのアスジャ修了生が、アスジャ事業に積極的に参加している様子も見られたからです。
次回のブログでは、アスジャ修了生が新たな立場になって戻ってきたあるNewアスジャ事業をご紹介いたします。どうぞお楽しみに