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令和2年度国際理解教育のための学校訪問事業【前編】
~日・ASEANでは「学校の部活動」はこのように違うのです~

アスジャ生はな2021年04月9日
はなさん

皆様、こんにちは。はなです。

久しぶりにブログが更新できて大変嬉しいです。前回のブログからしばらくお待たせしてしまい、ブログをいつも楽しみにしていただいている読者の皆様にお詫び申しあげます。アスジャ生ブログが休んでいる間にも、皆様にお話ししたいことはたくさんありますので、今後ともぜひ宜しくお願いいたします〜〜

さて、今回のブログは4月上旬に公開されましたが、すっかり春めいてまいりましたね。読者の皆様は今年の春をいかがお過ごしでしょうか。

アスジャ生は春になると、期末試験や進学試験が落ち着く一方、アスジャの事業で忙しくなります。その事業のうち、国際理解教育のための学校訪問(以下、学校訪問)があります。例年は都内の小学校を訪問することになっていましたが、令和2年度は新型コロナの感染拡大によりこれが中止となってしまいました。学校訪問で子供たちと交流できるのを楽しみにしていたアスジャ生にとって、これは大変残念なことです。

はなさん

ところが、その代わりにアスジャ生のところに別の機会がやってきました! アスジャ生は去年末に認定NPO法人まほろば教育事業団が主催した事業の一部に招待され、東京都立千早高等学校(以下、千早高校)の和太鼓部で和太鼓を体験するとともに、高校生と交流することができました。また、訪問する前に事前交流ワークショップにも参加させていただき、日本人大学生と学校の部活を中心に日・ASEANの学校教育について情報交換しました。

 

今回のブログでは、まず事前交流ワークショップの様子をご紹介したいと思います。

では、一緒に見ていきましょう。

アスジャの「国際理解教育のための学校訪問」事業とは?

 

アスジャの国際理解教育のための学校訪問は、毎年夏と冬の2回行われます。訪問先では、アスジャ生は講師として自国の文化習慣等を児童・生徒に教えるとともに、日本の児童・生徒の皆さんから見えている日本のことを教えてもらいます。それらを通して、アスジャ生は日本の生きた情報を得られるのみならず、日本の子供たちもASEANの国々への理解を深め、異文化に触れることで、日本の子供の国際理解教育に貢献できることを期待されます。

前回の学校訪問はこちらでご覧になれます >>

今回の学校訪問では、訪問先と交流内容は以前と異なりますが、アスジャ生のワクワクする気持ちは変わりませんでした。各国のアスジャ生チームから選ばれたアスジャ生代表者はその気持ちで、事前交流ワークショップ及び学校訪問という2セッションに参加させていただきました。

事前交流ワークショップ―  11月14日  ―

実際に千早高校を訪問する日から2週間前に、事前交流ワークショップが中野駅前にある中野サンプラザの会場で行われました。このワークショップでは、日本の学校教育における「部活動」というテーマをめぐり、日本の大学生の皆さんから色々なお話を聞かせていただきました。

はなさん

冒頭から「なぜ、部活動の話?!」と思う方がいらっしゃるかもしれませんが、今回アスジャ生が体験する和太鼓は、千早高校における部活動の一つだからですね。和太鼓といえば、プロの演奏者が演じる日本の文化遺産の楽器というイメージが浮かんできました。しかし、千早高校では10代の高校生たちが学業を修めながら、一生懸命和太鼓を練習し続けているようです。本当にすごいですね!

和太鼓練習

アスジャ生たちは、和太鼓部をはじめ、日本の学校における「部活」の全体像及び現状についてプレゼンテーションで説明していただきました。これまでも「夏の甲子園へ」や「放課後の練習」などの言葉は漫画やアニメ、テレビ番組などでよく耳にしてきましたが、改めてリアルな話を聞いて実感できました。

  • 中野サンプラザ前に集合

    中野サンプラザの前で集合しているアスジャ生たち

  • 概要説明

    日本の学校の「部活」について概要説明を受けています。

ディスカッション

その一方、ディスカッションの時間になったら、日本人学生もアスジャ生に対して、ASEANの学校における部活について興味深く質問してきました。これがきっかけで初めてアスジャ生同士もそれまでお互いに知らなかった高校・大学生時代の話を伺えました(笑)。高校生の時にバンドで活躍した人もいるし、中学校から高校まで太鼓の部活メンバーであった人もいます。文系部活のほかに、スポーツ部に参加して今でも継続しているアスジャ生もいます。

 

日本だけでなく、ASEAN各国にも学校の部活動がありますが、国によって練習頻度や指導教師の有無、管理体制など部活の事情が変わります。例えば、生徒の自主性が高い国もあれば、先生が活動内容を決める国もあります。また、マレーシアのように、ほとんどの学校では生徒たちは部活参加を義務付けられている国もあれば、ベトナムのように参加が自由になっている国もあります。

 

しかし、日本ほど学校の部活に時間と力を費やすASEANの国はないかもしれません。その気づきにより、日本人の生徒たちは家族との時間や家事を手伝う時間を減らしてまで部活に精をだすことは本当にいいのかという疑問も出ました。なぜなら、ASEANでは家族との時間や学業の時間を優先する考えがまだ一般的だからです。

 

それに対して、日本の文部科学省が定める部活動の規定では、部活動は「文武不岐(ぶんぶふき)」の「武」で、「武=運動」は「文=学業」とは別のものではないと、教育上位置づけられています。人として成長するために、「学業」も「運動」もどちらも大事であるということです。このように日本では、部活動は国の教育政策として学校の活動に積極的に取り入れて、学業とともに並行させていることが分かりました。このことは日本の教育の特徴の一つだと言えるでしょう。

  • 部活動についてディスカッション中

    笑顔で緊張感が和らぎましたね~

  • 部活動についてディスカッション中

    チーム・メンバーで自国の「部活」について語っています。

  • 部活動についてディスカッション中

    皆さん、熱心に集中して聞いていますね。

  • 部活動についてディスカッション中

    日本と自国の部活の違いを探し中かな~

ディスカッションの時間が終わるまで、それぞれのチームで多くの情報が交換され、会話が途切れずに、最後まで盛り上がりました。その後、チーム代表者は自分のチームの話し合った内容を発表しましたら、また面白い発見もありました。

 

まず、部活動はとにかく大変ですが、その反面、部活だからこそ多くのことが身についたという結論です。短期的に見れば、学業と部活動の両立で得られた効率的な計画の立て方などは大学受験の際にも役に立つようです。さらに、目上に対する態度の取り方や、仲間とサポートしあう精神、後輩への指導の仕方など、日本社会では欠かせない常識の訓練にもなるのです。

 

また、部活をはじめて大変だったことをきっかけに、頭の切り替えの仕方を勉強したという意見が会場の学生たちの関心を呼び起こしたようです。同じ学生として勉強と課外活動を両立するために詳しい方法を知りたくなるのは当然のことですね(笑)。

 

このように、今回のワークショップでは、アスジャ生が講師役ではなく、対話参加者として日本人大学生と自国の学校事情について意見交換ができました。これにより、アスジャ生・日本人学生の双方向の交流が一層活性化し、相互理解も深まる結果となりました。

  • 発表の時間

    いよいよ発表時間になりました!

  • 発表するアスジャ生

    アスジャ生も日本語で発表していますよ~

  • 日本人学生の発表

    日本人学生も「部活に入るのは当たり前なのに、留学生が羨ましがっていることに驚いた」ようです。

  • 交流会のアスジャ生

    交流会を通じてアスジャ生も大変勉強になりました。

ブログ読者の皆様、今回のブログのお話はいかがでしたでしょうか。

アスジャ生の日本の高校探検の旅はまだ終わっていません。交流ワークショップの後日、アスジャ生が都立千早高校を訪問しました。アスジャ国際理解教育事業での初の高校訪問では、明るく活発な高校生たちとふれあい、新たな刺激を受けたようです。

次回のブログでは、千早高校訪問時の様子を詳細にお伝えしますので、どうぞお楽しみに

 

アスジャ生による訪問交流を「うちでもぜひ実施したい!」とご興味を持たれた学校関係者の方がいらっしゃいましたら、アスジャ事務局までご一報ください。  https://asja.gr.jp///contact/

  • Text by : はなベトナム
  • Edit by : アスジャ・インターナショナル事務局アスジャ・インターナショナル
  • Photo by : アスジャ・インターナショナル事務局アスジャ・インターナショナル