皆さん、こんにちは。アスジャ3年生のはなです。
前回のブログでは、アスジャ国費留学生の修了式についてご報告しましたが、アスジャの秋は送別だけではありません。
10月には、アスジャ新入生を歓迎するためのオリエンテーションもあり、新しい風がアスジャ・ファミリーに吹き込まれました。
今回のブログは、今年10月24日(土)に国立オリンピック記念青少年総合センターにて実施された「令和2年度アスジャ国費留学生新入生オリエンテーション」のご報告です。
それでは、当日の様子を詳しく一緒に見ていきましょう。
オリエンテーション当日は、新型コロナ感染を予防するために、例年の二泊三日のプログラムが1日限りのプログラムに短縮されました。しかしながら、温かい雰囲気に包まれる会場で、アスジャ20年の歴史から各事業の概要など、短時間でも凝縮した内容の講義が行われました。先輩・後輩の交流会、勉強会も実施されました。
午前のセッションでは、自己紹介した後、新入生はアスジャの歴史について松岡事務総長からレクチャーを受けました。本レクチャーでは、時間を遡って第2次大戦中の南方特別留学生のお話で始まりました。東南アジア出身の元日本留学生である彼らは帰国後も活躍し、アセアン元日本留学生評議会(ASCOJA)の設立に貢献されたのです。
また、福田ドクトリンから東南アジア元日本留学者の集いまで、そしてアスジャの現在に至った道についても勉強しました。
福田ドクトリンは、現在の日本のアセアン外交政策の基軸となっており、2020年10月19日にベトナムを訪問された菅首相の演説でも次のように再び触れられました。
『 ASEANと日本は対等なパートナーであり、友人です。成長を目指して一緒に努力し、切磋琢磨(せっさたくま)し、協力しながら支え合っていく。正に「ハート・トゥ・ハート」、心と心の触れ合う関係です。』
出典:首相官邸のHP、「令和2年10月19日 日越大学における菅総理政策スピーチ」
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その後、福田ドクトリンの精神を踏まえて運営されているアスジャの設立に至る経緯も聞きました。また、新入生たちは、アスジャの歴史だけでなく、アスジャの事業もアスジャのホームページとアスジャ生ブログを通して、よりリアルな形で見ることができました。
このように、午前のセッションは、新入生5名にとって、昔と今の日本・アセアンの歴史的な関係と、アスジャという組織についての理解を深めた上で、学業とともにアスジャ国費留学生として今できること、及び将来の目標について考え始めるきっかけとなったと思います。
レクチャーが始まる前に資料を確認している
アスジャ新入生
歴史の話ですが、皆とても熱心に聞いています。
昼食後のセッションには、アスジャ先輩たちも登場しました。自己紹介で自分の好きな日本料理を話したら、なんと同じ趣味の仲間を発見できました。やはり食文化には人々を近づける力がありますね(笑)。そのおかげで、初対面で少し緊張していた雰囲気もだんだんくだけてきました。休憩の時間に入っても先輩と後輩がグループを組んで、いろいろな話で盛り上がりました。
その後、先輩・後輩たちは一緒にアスジャのルールについて事務局主幹の萩原さんから説明を聞きました。日本語学習歴の多少にもかかわらず、改めて「先輩」「後輩」という言葉、そしてその深い意味合いから生じる関係性、そしてアスジャ生としての責任感についても学びました。
実は、今回のオリエンテーションのスケジュールには、特別なイベントも行われました。それは、アスジャ前事務総長佐藤次郎先生への感謝楯贈呈式です。アスジャについては新入生にはまだよく分からないことが多いでしょうが、セレモニーで聞いた佐藤先生のお話から大いに閃きをもらったことでしょう。
新入生と先輩たちの初対面の様子
先輩たちが順番に自己紹介しました。
夕食の後、いよいよ最後のセッションに入りました。出席したアスジャ生がグループに分かれて、「わたしにとってのアスジャとは」というテーマで先輩と後輩で意見交換会を行いました。アスジャのことについてまだ理解不足である新入生に対して、先輩たちはアスジャでのいろいろな経験と自分の感想を伝えました。
ディスカションの前に仲が良かったようですね。
先輩たちの話を新入生が一生懸命にメモしています。
後輩に分かりやすく説明しようとしています。
カンボジアの新入生のテープさんは、先輩から受け取ったリーダーシップについての話から、「いいリーダとはいい聞き手だ」という理解に導いたようです。また、責任感、モードの切り替え、グループワークでの問題とその解決法なども学んだ上で、アスジャは自分を変えるチャンスだから、後悔することはないと確信をもって結論しました。
同じカンボジアから来たホンさんは、「教育面から見ると、アスジャはまるで学校のようだ」と語りました。(なるほどと私も思いました!)アスジャは、アスジャ生たちが言語学習の発達を求められるとともに、アスジャ生相互の違いから様々なことを勉強できる場だからですと。それに、アスジャで築く人と人のつながりは、将来の自分にとって重要なネットワークを強化するものだと述べました。
ミャンマーからのケイさんは、非常に興味深い連想話をしました。アスジャは実は船だと。アスジャという船が嵐を乗り越えるのにアスジャ生全員の力が必要です。また、全員の協力があれば、プロセスを通して最終的な目標を「平和」にできるということを「ONE PEACE」と名付けました。さらに、リーダーとフォロワーについて、どちらも責任を持っているし、お互いの役割において責任を持たなければ、何もできないという新しい見解で、会場の反響を巻き起こしました。
シンガポールのジンさんは、先輩の話を聞いた上で、当初分からなかったアスジャについてのイメージ、今自分ができること、及び将来の目標が少し見えてきたと言いました。また、東南アジアのつながり、それから日本・東南アジアの架け橋になるための幅広い視野をもった国際理解能力が育つということに感動し、アスジャ生として自分の成長に期待しているようです。
マレーシアのリナさんは、先輩の話を「アスジャは人生最高の経験」という言葉にまとめました。留学生活や学業などの悩みを相談できる仲間・家族がいることで、心強くなります。また、アスジャの事業を通して、日本語の勉強や日本文化・社会の体験だけでなく、リーダーシップのスキルや、日本だけではなく東南アジアにおける異文化理解なども身につけられるので、「充実した留学生活を送れるよ」と、先輩たちからいろいろ教えてもらいました。
それぞれの発表は各人の個性と相まってバラエティに富んでいましたが、新入生の情熱があふれて素晴らしい発表でした。彼らはオリエンテーションを通して、新たな環境で新たな立場に立ったことを覚悟した上で、不安と期待を感じながら、自分の将来の姿を思い描くことができたことでしょう。
新型コロナの影響で、今年のオリエンテーションは例年と比べ、様々な制限がありました。
しかし、それでもこのように新入生たちにとっても非常に有意義な1日となったと思います。
一方、先輩たちも後輩と交流することでネットワークを広げるだけでなく、自分の成長にも気づいたのでしょう。例えば、アスジャ生たちは様々な角度からアスジャのことを見ているのですが、今回多くの先輩たちがアスジャについて語る様子から、アスジャの良さのあらゆる点が描き出され、アスジャについての全体的なイメージが少しずつ現れてきました。
それに気づいた当日の来場者も、私と同じように感銘を受けたことでしょう。
今回のブログでは、令和2年度新入生向けのオリエンテーションの様子をお伝えしましたが、読者の皆さまのご感想はいかがでしょうか。
新入生らを含めてアスジャ生たちのお話は、これからもたくさんお届けしますので、 読者の皆さまに今後も「アスジャ生ブログ」を見守り続けていただければ、大変嬉しいです。
では、次回のブログをどうぞお楽しみに