アスジャ・インタナショナルが創立20周年記念を迎えられましたことを、心よりお慶び申し上げます。
日本では春ともなると厳しい寒さが和らぎ、日差しが柔らかく暖かくなります。新入生や社会人などが新生活を楽しみにしている一方、今後の人生を決める様々な選択に迫られるため、不安や悩みも抱えます。2014年の春に私が留学しに来日し、成田空港の到着ロビーにアスジャ事務局のスタッフがアスジャ新入生等を迎えに来ました。日本語の挨拶しかできなかった私は、ご担当の萩原さんが日本語と英語を切り替えて日本での生活で気を付けなければならないことの説明をしていただいて、言葉の問題に不安の気持ちがほぐれました。
アスジャでの最初の事業の新入生オリエンテーションで、アスジャ事務総長の佐藤先生から、アスジャ・インターナショナル設立以来の歴史についてご説明を受け、日本での生活習慣に溶け込むうえで言語の重要さというご助言を聞き入れました。アスジャ在籍期間、日本生活体験研修をはじめ、日本人学生との国際理解教育や地方の文化および習慣、学術研究施設の見学などのアスジャ奨学金制度ならではの事業を身をもって体験しました。
アスジャ留学生は、日本文化の直接体験や各層の日本人との交流の機会に恵まれます。2009年にアスジャ奨学金制度は廃止されましたが、日本政府が新たに「アセアン留学生交流等拠出金」を年間予算に計上されたため、文部科学省国費留学生の私が交流事業に参加できるようになりました。当時、アスジャ事務局のスタッフが新規事業のアイディアを続々提案しまた。1年目のイベントでは新宿区民に自国の文化を紹介したり小中学校で行われた授業や科学実験を受けたりしました。2014年に立ち上げた日本人大学生との交流ワークショップは、参加者から高評価を受けたため、年間事業になりました。3泊4日間の合宿でアスジャ留学生が日本人大学生と過ごし、寝食を共にしたり各国の文化を語り合ったりしていて、仲間意識が一層深まりました。また、各班が日本とアセアン諸国との国際関係や貿易の仕組などの課題を論じて、取り組んだ課題の解決案を発表させていただきました。そして、事務局の皆様のご尽力のおかげで、研修旅行では通常では体験できない地方の文化と習慣、日本の無形文化遺産まで堪能できました。例えば群馬県富岡製糸場では、明治維新において主要輸出品であった生糸の生産技術や絹産業の技術革新が目の前に現れ、明治時代にタイムスリップしたかのようなひとときでした。こうした環境でアスジャ留学生が地域の文化や地方産業に溶け込んだことができる同時に、日本の地方活性化にもつながると考えます。
アスジャ・インターナショナルのプログラム修了後、修了生が日本語の習得や日本の文化への理解を深めましたが、アスジャ事務局および現アスジャ留学生との関係が一区切りになってしまいました。アスジャ・インターナショナルと元日本留学生同窓会間に実践的な国際協力の啓発に貢献できるネットワークが創り出せましたら、日本とアセアン10カ国の交流事業が前よりも一段進まれるでしょう。こうした中でアスジャ理事会、事務局のスタッフ、修了生、現アスジャ生間連携が不可欠です。この度、実施予定の修了生の集いで異なる業種の修了生と交わることにより、日本国内外で起こっている課題や問題点、仕事上の障害に対して価値創造や革新的な発想が生まれることが期待されます。
アスジャ在籍期間を振り返ると、取り入れた価値観を生かしたいと思いつつ、自分たちが日本と母国との協力関係を発展させるために架け橋になるための活動を努力しております。次の20年にアセアン10カ国からの修了生が日本とどのような関係を築くでしょうか、如何に日本との良好関係を育っていくのか、期待と不安が入り交じりますが、アスジャ・インターナショナルの知恵や長年の運営経験は、ネットワーク拡充のためにとても役に立つ宝箱になります。
上げ、佐藤先生はじめアスジャ事務局スタッフ、並びに日本・ASCOJA理事の皆様、関係各位の御健勝をお祈りいたします。